一週間シリーズから一年経過後のピュアポとでおあぽのツンアポがエロくないトラップダンジョンに放り込まれてアヤシイ3つのプレイを百合百合こなしながら脱出する様子を弟とXIIが眺めるだけのIQ2ぐらいのアホギャグです。
※言葉責め(嘘)/耳責め(嘘)/射精制限(嘘)があります。
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ある日の夜、ヴァッカリオはため息をついていた。その原因は、隣で眠る伴侶でありとてもエッチで最高に自分好みのエロボディを持つアポロニオのことだ。
試行錯誤の上、二人がようやく体を繋げ合わせたのが一年前のこと。その直後は初めての性感に翻弄されるがままの兄を良いように扱って(いや、兄もそれなりに求めてくれていた、と思う)、顔を合わせれば言葉よりも多く体で語り合った。
まあ、それからしばらくしてアポロニオも落ち着いてきて。仕事も忙しくなってきたこともあって……最近、ご無沙汰であった。今日も、明日は早出だから、という理由で仕方なく軽くキスと愛撫だけをしあってベッドにもぐりこんだところだ。
(お兄ちゃんも物欲しそうな顔はしてるんだけどなあ……また運良く長期休みにでもならないかな)
もう一度ため息をついて、ヴァッカリオは毛布を被りなおすと目を閉じた。
次にヴァッカリオが目を開けた時、そこはアポロニオの部屋ではなかった。どこだここ、と慌てて周囲を見回すと、仮面を被った自分とそっくりな男と仮面越しに目が合った。
「げっ、ディオニソスXII」
「なんだその声は……またお前と会う日が来るとは」
同じ声で同じような嫌悪感を滲ませた言葉を交わす。ディオニソスXIIは肩をすくめてみせた。
「ぜってーろくなことが起きてないなこれ。それにしてもどこなんだここは……」
「わからん。が、貴様の言う通りろくなことでないのは確かだぞ」
親指で乱暴に彼が指した先には、真っ白なプレートが壁に掛けられていた。
「『パートナーがゴールしない限り出られない部屋』……はあ?」
「貴様がいびきをかいている間にひととおり確認したが、出口は無いようだ」
いちいち嫌味ったらしくてムカつくヤツだな、とディオニソスXIIをひとにらみしてから、ヴァッカリオは目の前にあったソファに座った。斜め向かい側のソファにはディオニソスXIIがその長い足をアピールするかのように組んで座っている。
二人のソファはテーブルと、それから大きなスクリーンを見られるような形で配置されていた。ご丁寧に、テーブルの上には水も置いてある。せっかくなら酒が良かった、とヴァッカリオは思ったが、まあこのようなよくわからない空間に置いてあるものを飲もうとも思わない。
と、スクリーンがパッと点灯する。ディオニソスXIIもヴァッカリオも、スクリーンに目を向けてから絶句した。そこに映っていたのは紛れもなくそれぞれの『パートナー』である、アポロンVIとアポロニオだった。何やら、二人で頭を寄せ合って相談しているようだ。
『――仕方あるまい』
『手をつなぐ程度なら害もないしな。全く、敵の目的がわからん』
前者は微妙な顔をしたアポロニオ、後者は苦々しい顔をしたアポロンVIだ。どうやら、二人はすでに自己紹介をしてそれなりに話を進めているようだ。
ヴァッカリオとディオニソスXIIから見て死ぬほど可愛いパートナーたちは、二人で手を取り合ってきゅ、と握ると、そのまま歩き始めた。
「可愛いと可愛いがくっついた」
「なんだこれ天国か?……おい、人のパートナーを可愛いとか言うな下衆め。」
「おいらのパートナーはアポロンVIでありお兄ちゃんだからね、アンタこそ人のお兄ちゃんを下品な目で見ないでくれる?きもっ」
「なんだと!?」
「やるかこの野郎!」
ソファから立ち上がった二人は言い合いを始め、流れるように取っ組み合いになりそうになったところで、スクリーンの風景が動いたことに気づいて座り直した。相手をぶっ飛ばすよりも可愛い天国を見る方が大事だからだ。
とことこと歩く二人をカメラも追い始める。ぽつぽつ、と会話をしているうちに何やら楽しくなってきたのか、アポロンVIとアポロニオはニコニコと笑みを浮かべながら会話と周辺に花をぽかぽかと咲かせていた。
「おいおいおいアポロンVIのあんな可愛い姿見たことないぞなんで俺はカメラを持ってないんだ」
「ざまあみろ。でもおいらもカメラ欲しいわぽやぽやしたお兄ちゃんはよく見かけるけど無限に摂取できるもんね」
スクリーン内のにこやかな二人とは対照的に、ソファに座った二人はノンブレスで自分の思いの丈を言い切った後にがっくりと項垂れた。今、二人の気持ちは一つ。あとでこの映像をもらえないだろうか、という一点のみだ。
『ここのドアは……キ、キスをしないと開かないらしいぞ、アポロンVI』
『む……キスか……』
アポロニオは読み上げた後に顔をほんのり赤く染め、聞いたアポロンVIはこてり、と首を傾げた。その後、ちょいちょい、とアポロニオの顔を自分の方に寄せると頬にちゅっとキスをする。
『これもキスだろう?』
『なるほど、その手があったか!……ちゅっ、はい、お返し』
アポロニオもアポロンVIの頬にキスをすると、二人は顔を見合わせてくすくすと笑った。無事に扉は開いたようで、手をつないだまま、歩き始めた。
「……っ!……っ!」
「あ~~~~~~~」
ディオニソスXIIは無言で目の前のテーブルをバンバン、と叩き、ヴァッカリオは魂の抜けるような声と共に天を仰いだ。可愛いと可愛いが可愛いことしかしていないので見ているだけで死にそう。
「これあと何ステージあるんだ?俺の心臓はもつのか?」
「おいらは最後までもたせてみせる。アンタは勝手に脱落してろ」
「お前みたいな身内に手を出す節操なしにアポロンVIを見せられるか」
「待て、同僚に手を出して暇さえあれば盛ってるようなアンタに節操なしとか言われたくないんだが?」
ピリ、と空間に緊張が走る。
「……やるか?」
「……相手してやりたいが、次の扉の前だ、一時休戦と行こうじゃないか」
ディオニソスXIIの言葉に、ヴァッカリオは上げかけていた腰を下ろした。殴り合いをしていて大切な場面を見逃すわけにはいかない。後で動画がもらえるかどうかは置いておいたとしても、今、この瞬間を目に焼き付けることこそが自分に課せられた使命なのだ。
『今度は……言葉責め、だと……!?』
『ことばぜめ……?』
愕然とするアポロンVIと対照的に、アポロニオの方が今度はこてん、と首を傾けた。体を繋ぎ合わせて非処女になって一年経つのに、いまだヴァッカリオの手元で大切に保護されている彼はまだピュアピュアのピュアであったのだ……!
「おい、お前らヤることヤってるんだろう?というか、もう成人しているのに言葉責めを知らない……!?」
「他人のうちの育成計画に口出さないでくれる?うちのお兄ちゃんは奇跡の存在なの!」
「ドン引きするわ……」
「え、VIに変態プレイ仕込んだアンタには言われたくない……」
「なんだと!?」
「やるか!?」
二人は懲りずにソファから派手な音を立てて立ち上がったが、アポロニオとアポロンVIが何やら話し始めたのに気づいてすぐに座り直した。図体のでかい二人を何回も支え直すし立ち上がる衝撃に晒されるソファが一番の被害者である。
『言葉責めというのは……ううむ、説明が難しいな。その、相手をいじめるような言葉で責めることだ』
『いじめるような言葉……ふむ……うーむ、思いつかんぞ』
アポロンVIが少しだけ顔を赤くしつつ、口ごもりながらアポロニオに説明した。が、肝心の『性的興奮を相手が覚えるような言葉』という部分がすっかり抜け落ちていたので、アポロニオは何やら違う方向に考えを飛ばしているようだった。
『アポロンVIは……融通がきかなくて頑固!すぐ正論ばっかり言う!人の気持ちもわからないわからずや!』
『うっ……心にぐさぐさ来る……』
「す、すまない……とはいえ、私も傷つくのだが……』
アポロニオにいじめられたアポロンVIはしゃがんで頭を抱え込んでしまった。言った本人のアポロニオも心当たりがありすぎて、胸を詰まらせた。アポロンVIの隣に一緒にしゃがみこんでぐすん、としょぼくれる。
『あ、扉開いた』
『……あれでいいのか?』
腑に落ちないアポロンVIだったが、立ち直ったアポロニオに両手を持って上に引っ張られ、立ち上がった。まあ、目的達成したならいいか、と思い直してアポロンVIは三歩分ぐらい歩いたところで今のことは全部忘れた。都合の悪いことはすぐに忘れるのが、ベテラントップヒーローのライフハックだ。
「おかしい、完全に18禁の流れだったはずなのに……」
「ちょっとあの扉の判定おかしくない……?」
少しだけ……嘘です、全力で期待していた二人は虚ろに呟いた。可愛いと可愛いが一生懸命言葉責めをし合って18禁ゾーンになると思ったがそんなことはなかった。圧倒的ド健全だった。どうして。
「しかし、この流れで言うと次の扉は期待ができるのではないか?」
「そういう発想がエロニソスだって言うんだよ」
「なんだと!?」
「やるかこの野郎!」
息の合ったコントのように二人はガタッと立ち上がったが、スクリーンから可愛い二人の『耳責め?』という言葉が聞こえてきたのですぐ座り直した。やっぱりコントだった。
『耳責め?……こうか?』
アポロニオはアポロンVIの耳元に口をよせると、ふーっと息を吹きかけた。アポロンVIがぴゃっ!と何とも言えない悲鳴と共に飛び上がり、耳を抑える。
『びっくりした。……耳を貸せ、仕返しだ』
『うわっ!』
アポロンVIがアポロニオの耳を引っ張り、ふーっと息を吹きかける。その感覚にぞわぞわと背筋を震わせたアポロニオであった。
あっさり、扉が開いたので二人はまた歩みを進める。
「なんでだよ」
「やっぱり貴様も期待していたではないか」
「いやするでしょ耳責めなんてそりゃもう舌でドロドロのグチャグチャになるのが流れでしょ」
「アポロンVIの小さい口で小さい耳をはむはむする姿が見れるはずだったのに……あの扉の忍耐力が無さ過ぎるな」
ド健全な歩みを進めるアポロンVIとアポロニオと違って、煩悩の塊であるヴァッカリオと性欲の塊であるディオニソスXIIは非常に18禁な会話を繰り広げていた。やめろそれ以上お前らがしゃべるとレーティングをR18にしないといけなくなる。
『おお、これが最後の扉のようだぞ、アポロンVI』
『ようやくか……最後は……む、どうしたアポロニオ?』
扉の前の文字列を読み上げようとして、アポロニオは顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。怪訝そうな顔をしたアポロンVIが、文字列を覗き込み……同じように顔を赤くした。
「ええい、最後の扉の何をしたらクリアなんだ!」
「カメラ寄って寄って!」
ディオニソスXIIとヴァッカリオはまたしてもソファから立ち上がるとカメラマンに無茶ぶりを始めた。可愛いと可愛いが文字列を目にしてもじもじしてしまっているので、これはついに明らかに18禁の流れに違いないと確信しているのだ。
『しゃ、射精制限とは……』
『う……』
顔を真っ赤にしたアポロンVIがちらり、とアポロニオの顔を見ると、アポロニオも耳まで赤くなった顔でアポロンVIを見返した。そのまま恥ずかしそうに二人そろって目を伏せる。
「ちょっとうちのお兄ちゃんに変なこと教えないでよ!!」
「射精制限程度、覚えさせておけ!」
「なんだとこのド変態野郎!!」
「もういい歳なんだからそれぐらいやるだろう!?」
「やるかバカ!!」
「なんだと!?」
また二人そろって勢いをつけてソファから立ち上がったが、アポロニオが意を決したようにアポロンVIの耳元に口を寄せたのを見てまた座り込んだ。いいスクワットトレーニングになっていそうだ。
アポロンVIとアポロニオの二人しかいないはずなのに、アポロニオはこそこそと内緒話をするように声を潜める。
『その……恥ずかしい話なのだが、聞いてくれるかアポロンVI』
『ああ、誰にも言わないと約束しよう』
『実は……私は、未精通なもので……その、そもそも、射精ができないのだが……』
『な、なんだと……それは本当かアポロニオ……!』
びっくりしたアポロンVIが思わず顔を離すと、アポロニオは慌てたように人差し指を口の前にあててしーっとジェスチャーをした。もちろん、その可愛さに見ていたヴァッカリオは鼻血でも出るのではないかと興奮したし、ディオニソスXIIも「未精通……だと……」と呆然と呟いていた。
『あ、扉が開いた。……射精できないなら、ゲームにもならないからか?』
『ふむ、なんだか釈然としないが……まあ、いいか』
アポロンVIとアポロニオは二人そろって同じ方向にこてん、と首を傾けたが、もうゴールだと思えば些細なことはどうでもよかった。長くヒーローを続けるためのライフハックは、細かいことはいちいちに気にしないことだ。
「なんでだよ!?」
「クソッ、どう考えても過去最大級に18禁のチャンスだったではないか……!お前のとこのアポロニオのせいか!?」
「なんだと!?お兄ちゃんをバカにするな!!むしろうらやましいだろう!!」
「悔しいがうらましい!!!!!!だがとろとろな顔でトコロテンするアポロンVIも可愛いぞ!うらやましいだろう!!」
「クソッ!!!!うらやましい!!!!」
やっぱり二人はソファから勢いよく立ち上がると、よくわからない口論の末に取っ組み合いを始めた。本気で殴り合いをしている最中の会話は、絶賛R18なのでとてもここには書けない。
「……何をしているんだ二人とも……」
「ヴァッカリオ!こんなところにいたのか」
どこからともなく現れたのは可愛いアポロンVIと可愛いアポロニオだ。ディオニソスXIIもヴァッカリオも、相手のことなんて(物理的に)放り投げて自らのパートナーの下へと駆け寄る。
「アポロンVI、ケガはないか?体調は?」
「あんな子供のおままごとみたいなものでケガなどするものか。アイツにやられて頭でもイカれたか?」
「クソ、さっきまでの可愛さはどこへ行ったんだ……」
天を仰ぐディオニソスXIIの尻をアポロンVIは蹴り飛ばすと、二人は部屋の外へと歩いて出て行った。
「待たせたなヴァッカリオ、兄はちゃんとゴールしてきたぞ」
「ああ、うん、そうだね……そうだね?」
「アポロンVIには実に世話になったな。とりあえず、私たちも帰るとしよう」
別に待ってないしいろいろとツッコミどころしかないが、アポロニオが可愛らしい笑みを浮かべてヴァッカリオの手を取るので、大人しくその手に従った。
「……はっ!夢か……な、なんていう夢なんだ……!」
ヴァッカリオは覚醒した瞬間に、室内の様子を確認し、それから遠くからする朝食の良い匂いに気づいて、自分が今まで夢を見ていたのだとようやく理解した。
それにしても不思議な夢であった。いったい何がどうして……と思ったが、そういえば、最近ご無沙汰な間、以前集めていたディオアポの18禁同人誌を引っ張り出してきてお世話になっていた事実がヴァッカリオの脳裏を過った。
がっくり、とヴァッカリオは肩を落とす。やはり欲求不満がずいぶんと溜まっているようだった。の割には、夢の中でも肝心なところは何一つ見せてもらえなかったのだけれど。
「おお、起きていたのかヴァッカリオ」
「ん、おはよお兄ちゃん」
朝の挨拶として、お互い頬にキスを送る。そして、最後に唇同士を軽く触れ合わせて終わりだ。何しろ、アポロニオは今日仕事であるので……それ以上は止まらなくなりそうだった。
アポロニオは、エプロンの裾を少しいじった後、ヴァッカリオをじ、と見つめて何か言おうと躊躇している。顔がほんのり赤いことから、何かしらいやらしいことなのだな、とヴァッカリオはすぐに見当をつけた。この辺の察しの良さはこの一年で大いに鍛えられたのだ。
「なあに、お兄ちゃん、何か言いたいことがあるの?」
「その……朝から、言うような話でもないのだが……」
「気にしないでいいよお」
「そ、そうか……その、しゃ、射精制限と言葉責めというものに、興味があるのだが」
ヴァッカリオが盛大に噴き出して、アポロニオが目を白黒させるのはもはや予定調和であった。
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