ヴァカアポ。すみません嘘です、ヴァッカリオ→アポロニオで告白する前の話。まあいつもどおりのギャグです。店長とお兄ちゃんがグッズトレード仲間で仲良しっていうのをやりたかっただけ。ほら、サモナーズアリーナでも意気投合しそうな感じのデッキだったじゃん……。
※途中で飽きてしまったので尻切れトンボです
追記:店アポっぽく見えるかもしれませんがそのつもりは一切ございません。あくまでもヴァッカリオをからかっているだけです。店長とお兄ちゃんは普通に仲良し。お花畑。
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仲直りもした。公園で一緒にお弁当も食べた(これってデートだよね?)
これまでの10年間を考えると、飛躍的に進歩したというか元に戻った自分の兄の仲にヴァッカリオは深いため息をついた。
運命のいたずらとはいったい。あのふざけたロリコン店長が神だというのなら、いっそ自分が神になりたいと思わないこともない。
ヴァッカリオは子供の時から兄に恋をしていた。それが洒落でない、本物の恋であると気づいたのは思春期の時だ。
同級生の友達とお前夜のオカズ何?という誰にでも経験がありそうな猥談で、ヴァッカリオは兄、と答えそうになった。まあ、その時は当時のグラビアアイドルの名前を挙げてなんとか回避したのだけれども。
兄、と答えそうになった事実にその日は自分の口が壊れたのか?と悶々と悩み、翌日の朝、兄に起こされてその時に自分の恋心も目覚めたのだ。
それで、二十歳になったら告白しようと思っていた。兄に追いつけてはいないと思うけれど、自分もディオニソスXIIの座を引き継ぎ、立派にゴッドナンバーズの一員となった。これで、兄の横に立つことができる、と。
しかしながらそこは運命のいたずら。あのクソッタレなロリコン店長が起こした騒ぎのせいで、自分は寿命を大幅に削られてしまったし、兄の親友であり尊敬する師匠を自分の手で葬ってしまったし、さらに兄とも関係を断絶せざるを得なかった。
いくら神経のずぶとい自分でも、はっきり言って相当傷ついたし相当メンタルをやられた自覚はある。酒に逃げたのも、たぶんそうでもしないと自分を守り切れなかったんだろう、と今になって改めて思う。
それからの10年間は本当に地獄だった。これが、兄の大切な親友を奪った罰なのだ、と懺悔を繰り返し、20歳になったら伝えようと思っていた恋心を持て余し、やることもなくぶらぶらする毎日。
風俗に入り浸ってみたり、夜のお店に通い詰めてみたり。まあ、どちらも指名するのが金髪ショートの年上という時点で、夢から覚めたあとに死ぬほど恥ずかしくなるのだけど。20後半にもなって兄の痴態で夢精するヤツいるか?いるんだよなあ、ここに。
ロリコン店長がいじった運命ならもう一度歪ませるのもロリコン店長だ。本当にあのクソ野郎は。
なんだかんだ、あれやこれやがあってロリコン店長のバカに巻き込まれ、兄に事実を打ち明け許してもらい、そして冒頭に戻る。
(あーあ……完全にタイミング逃した……)
エリュマでパワフルワンを片手に、ぼんやりとヴァッカリオは嘆いた。目覚めた恋心に「20歳になったらね」となだめすかし続け、いざ20歳になったらそんなことを言っている状態ではなくなってしまった。
仕方なく、もう二度と言うこともないだろうと抱えた恋心をどうにか殺せないかと試行錯誤し、とりあえず隔離でいいか、と何とか自分の中で折り合いをつけたら今度はまた兄が手の届く距離にいるようになってしまった。
隔離した恋心が自分を出せ!と毎日毎日忙しい。いやお前、10年間我慢したんだからもう10年ぐらい我慢しろよ、たぶんその間においら死んじゃうし。
仲直りしたタイミングであるとか、兄と思い出の公園に行った弁当デート(デートに違いないと信じてる)であるとか、タイミングはあったのに、隔離した恋心をすぐに取り出すことができなくて。そうやって、小うるさい恋心を抱えたまま何日も、何十日も経った。
「さっきから何をため息ばかり……生ごみの日はまだ先なんでこんなところで腐らないでいただけますかねえ」
「そんなこと言わないでよ、おいらと店長の仲でしょ~?」
「そうですね、私とあなたの仲ですから面白そうな話聞かせてくださいよ」
「げっ」
ロリコン店長の本質がトリックスターであることをすっかり忘れていた。物語をひっかきまわし、いたずらを持って発展させるありがた迷惑な。しかも、自分の肩の荷が下りたからか、割と最近今まで以上に自由な振る舞いが増えているように思える。
「まあ、大体アポロンVIのことなんだろう?」
まあ、私はアイツが大嫌いだがね、とロリコン店長は苦虫を噛み潰したような声で続けた。トリックスターの性質と、理を遵守するアポロン神の性質はとことん相性が悪いらしい。
「悪のプロメトリックは打倒され、裏切り者のナンバーズは姿を消し、世界に平和が訪れました。それでめでたしめでたし、でいいじゃないのさ」
「それじゃあ物語が完結してしまうでしょう?面白くもない」
完全に人の人生を遊びやがって、とヴァッカリオは割と本気でキレた。コイツがいなければ20歳の時にさっさと兄に告白できていたのに。告白が成功するとは限らない、ということは全力で棚に上げておいて。
「全部アンタが余計なことするから俺の人生設計が狂ったんだよ、クソ!」
「いやはや、人生は山あり谷ありですよハハハ」
とは言え、とロリコン店長はヴァッカリオを見てにたぁと笑った。嫌な笑みだ。
「面白そうなんで今から告白しますか?」
「はあ~~?バカ言わないでよ店長、無理無理。今更遅いんだって」
「トリックスターの本気を舐めないでいただきたいものですね」
そう言ってロリコン店長はすっと通信端末を取り出し、どこかに電話をかけた。
「あ、もしもし?アポロニオ?ああ、チップス新しいの入ったんだけど、まーたディオニソスXIIばっかカード出ちゃって。アレス零のカード持ってる?OK、いつものエリュマで。よろしく」
ロリコン店長の口から飛び出した言葉に、ヴァッカリオは盛大にパワフルワンを噴き出して机に突っ伏していた。
「汚いですね、フードコートは公共の場ですからきれいにお使いください」
「うえぇえええ、なに、なんで!?知り合いなの!?!?」
「ふふふ、グッズ集めのトレード仲間なのですよアポロニオは」
嘘でしょ、とヴァッカリオはロリコン店長を見上げた後、もう一回呆然と嘘でしょ、とつぶやいた。
「ほら、先週、あなたが夕飯に誘ったら断られたでしょう?」
「あ、ああ……ま、まさか……」
「そうです。その日、彼なら私と一緒に夕飯を食べた後、私の家に泊まりましたよ」
「はあああああああ!?!?!?なんで!?!?!?」
「なんで、と言われましても」とロリコン店長は非常にあくどい笑みを浮かべて言った。「私と彼はそういう仲ですので」
ヴァッカリオはフリーズした。先週断られた時も、仕事が忙しいのかな、と勝手に思っていた。よくよく考えてみれば、自分は兄の交友関係を何も知らない。ずっと、自分にばかり構っているただ一人の兄だと信じ込んでいた。
エリュマの入店音がする。
「いらっしゃいませ~……ようこそアポロニオ」
「やあ、パンテレイモン……おお、ヴァッカリオではないか。どうしたのだ、このようなところで」
どうしたもこうしたも。というか親しげに挨拶を交わす二人にヴァッカリオはフリーズした。いやお兄ちゃん、目の前にいるのあの憎き全人類の敵、プロメトリックですよ。
「あと30分でバイト上がりだからそれまで待っていてもらえるかな?」
「ああ、かまわない。ついでにミルクセーキとエッグベネディクトをもらおうか」
「待っててくれるお礼に奢るよ。それともこの後、予定がないなら夕飯でもどうだい?」
「それもいいな。ではミルクセーキだけにしておこう」
いやいやいや待って、なんで今流れるように夕飯行く約束したの?おかしいでしょ?とヴァッカリオは二人のやり取りを見守った。というかあまりの展開に完全フリーズしてしまい口をぱくぱくとさせるだけだ。
「え、えっと、お兄ちゃん、ここの店長と仲良いんだね……?」
「ヴァッカリオがよく世話になってるとゾエルに聞いてな。この前、物を買いながら挨拶したらお互いにグッズを集めていることがわかって、その縁で連絡先を交換したんだ」
「はい、こちらミルクセーキになりまーす」
ありがとう、と受け取って口に運ぶアポロニオ。
ふ、とヴァッカリオがロリコン店長を見ると――ハンドサインを送ってきた。「あと30分で片を付けないとお持ち帰りしますよ」と。
「はあああああ!?!?!?!無茶でしょ!!!バカなの!?!?!?!」
「な、なんだ、いきなりどうしたんだヴァッカリオ」
いきなり隣で大声で叫ぶ弟にびっくりした兄はちょっと身を引いた。弟のことなら何でも可愛いと思うが、さすがに突然の奇声に対応できる心臓の強さはない。
「い、い、いや、なんでもない、なんでもないよ……」
「汗がすごいようだが調子でも悪いのか?腹か?熱か?」
心配そうにするアポロニオがヴァッカリオの額に手を当てる。熱はないようだが、と言って今度は額をコツン、とぶつけてきた。
「お、お、お兄ちゃんんんん」
「大丈夫か?熱はなさそうだが……私の体温が高いだけだろうか」
子供舌な兄の体形が幼児体形で子供体温だということをヴァッカリオは初めて知ったかもしれないし、恋心が見せた幻かもしれない。あとすっごい良い匂いがするんだよね、体臭?加齢臭じゃなくて子供臭?とヴァッカリオは大混乱しながら考えた。
この程度のスキンシップなら別にこれまでもやってきてはいたが、今は状況が状況だ。ロリコン店長の策略によって今、ヴァッカリオは窮地に立たされているあいついつも窮地に立たせるなこの野郎。
ふと時計を見れば残り時間はもう半分もない。
「ヴァッカリオ、体調が悪いのであれば家まで送って行こうか?」
渡りに船!そうだ、ここで兄に送って行ってもらって、ついでに調子が悪いからそばにいてほしいと言えばそれで済む話だ。
窮地からの起死回生の手に、ヴァッカリオはゆるりと微笑みを浮かべた――が。
「何をおっしゃいますお客様、さきほどまで元気にパワフルワンを飲んでいたじゃありませんか」
ほら、と言って店長が指差す先には半分ほど残ったパワフルワンがあった。ヴァッカリオがアポロニオの頭越しにロリコン店長を睨みつける。が、睨まれた本人はどこ吹く風でにやにやするだけだ。
うるせー帰れロリコン!言われなくても帰りますよアポロニオとね!お兄ちゃんはおいらのもんなの!だったら早くそれを言えばいいじゃないかこのヘタレ!などと一瞬のうちに視線で会話を交わす。自分の頭の上でそのようなことが起きているなんてアポロニオは一ミリも知らない。
「……ヴァッカリオ、あまり言いたくはないが、やはり酒は控え目にした方が……」
「えっあっうん……気を付けるけど……」
「?なんだ?何か言いたいことがあるなら何でも言うと良い。悩みがあるなら兄が聞いてやるぞ?」
悩みはあるよ今すぐ目の前に!とヴァッカリオは心の中で叫んだ。
店長の言うタイムリミットまであとわずか。どうする、どうする俺!?
20年ぐらいこじらせた恋心を30分で解決しろとかいうプロメトリックってやっぱ邪悪神だわ、とヴァッカリオは改めて思った。
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結末は各々のご想像に(なんか飽きちゃった)
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