ちょっとWeb拍手に置くのも、単品で置くのもな~って感じのゲームパロのお話です。と言っても、普通に「ファンタジーパロ」と変わらないので、元ネタを知らなくても大丈夫です。元ネタはElonaというフリーゲームから。短いです。
別ゲームのネタから。「発狂状態になったキャラクターを治すためには魔法の口づけが必要」という事を知ってしまったお兄ちゃん!
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「な、なんだと……!」
ギルドの図書室で状態異常に関する本を読んでいたアポロニオはうめき声をあげていた。というのもつい先日、状態異常攻撃を繰り返す厄介な敵と当たってしまい、攻撃からアポロニオを守ろうとしたヴァッカリオがその攻撃を食らってしまったのだ。
ヴァッカリオは今、ギルドの施設に入院させている。状態異常は「発狂」とのことで、どうにも会話は成立しないし、常に奇怪な行動を繰り返してしまっているのだ。
状態異常を回復するためにはどうすれば、と図書室を訪れたアポロニオがついに見つけたその方法とは。
――魔法の口づけをすること
「わ、わ、わ、わたしがヴァッカリオに??」
それはもちろんまあ必要なことなので、いやいや仕方ないね、という話ではあるのだが。それはそれとして、少し高級品ではあるが、ユニコーンの角を購入して薬として与えても治るとは書かれている。そしてそちらの方が一般的だとも。
ユニコーンの角のお値段を見ても、別に払えないほどではない。むしろ案外と余裕がある。なので、ユニコーンの角を買って薬として与え――る前に、アポロニオはそわそわしながらヴァッカリオの病室に来ていた。
「んん、す、す、す、少しキ、キ、キ……口づけするぐらいで治るなら……節約は大事だからな……」
……どこからどう見ても、挙動不審で、なんだか下心が漏れに漏れまくっているアポロニオだ。ギルドの職員が何かを察したような視線を送ってから、そっと病室を離れる。
「ヴァッカリオ、大丈夫か」
声をかけても、ヴァッカリオは何やらよくわからないことをぶつぶつと呟いている。その様子を見ていると、アポロニオの心はずいぶんと痛んだ。
「今すぐもとに戻してやるからな……」
上半身を起こした状態でベッドにいるヴァッカリオの唇には、今のままでは届かない。仕方ない、とアポロニオは靴を脱ぎ、いそいそとベッドに乗った。
そして、ヴァッカリオの太ももを跨いで、ヴァッカリオの肩に手をかける。言葉にならない音を漏らし続けるヴァッカリオの唇に、そっと自らの唇を押し当てた。
その瞬間、ぴりっとした電流のようなものが流れた。これは状態異常解除の合図か、とほっと胸を撫でおろしたアポロニオが体を起こそうとしたその時。
アポロニオの背中に、二本の逞しい腕が回される。そのまま、ぎゅうと抱きしめられてヴァッカリオの体の上に倒れこんだ。
「ヴァッカリオ!」
「いやーなんかところどころ記憶が飛んでるけど、目が覚めたらお兄ちゃんがキスしてるとかここは天国かな~」
「元に戻ったのか……!」
無事に会話が成り立つようになったヴァッカリオを見て、アポロニオはほっと安堵の息を漏らす。そのまま健康を確かめるようにヴァッカリオの頬に手をあてると、その瞳を覗き込んだ。ヴァッカリオの瞳にはすっかり理性の光が戻っており、楽しそうにアポロニオを見つめ返している。
「戻ったよ、お兄ちゃんの魔法の口づけでね」
「!!」
「ユニコーンの角買わなかったの?」
「……お、お金の、節約をしようかと、思って……」
目を右往左往させながら話すアポロニオを見ていれば、それが嘘ではないが真実そのものではないともすぐにわかる。ヴァッカリオはふっと笑い声を零すと、アポロニオの鼻先に唇を寄せた。
「そうだね、新しい装備品も買いたいしね」
「! そ、そうだとも!」
わかりやすいアポロニオの姿を愛おしく思いながらも、ヴァッカリオはアポロニオを抱きしめたまま起き上がった。
「ところでお兄ちゃん、何か依頼とか受けてたりする?」
「いや、お前が戻るまでは、と思って何も受けてないぞ」
「じゃあ時間余裕あるんだ」
「? ああ、この後特に予定はない」
と、アポロニオが首を傾げながら言った瞬間。アポロニオの視界はぐるんとひっくり返り、気づけばヴァッカリオから見下ろされる形になっていた。そう、一瞬の間に、体勢が入れ替わり、今やアポロニオは病室のベッドでヴァッカリオに押し倒されている形に……!
「! ま、まさか……!」
「お、さすがのお兄ちゃんもこうなったらわかる? じゃあ、遠慮なく」
いただきます、という大きなヴァッカリオの声に、アポロニオの抗議の声はあっさりと消されてしまったのだった。
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