10月分のまとめです!
GA2021とグランドフィナーレ後まで。と言っても、あんまりヴァカアポは影響なかったからな~。
いつも通りのヴァカアポです
大人ヴァに絵本の読み聞かせをしてやろう!ってお兄ちゃん、ヴァがしゃーないって付き合ってあげてたんだけど、お兄ちゃんがガオー!(「・ω・)「ガオーってやるから可愛すぎて絵本の読み聞かせおかわりをおねだりしてしまうヴァカアポ
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ヴァッカリオはもう30を超えた成人男性だ、おじさんだ。酒も飲むし部下にちょっぴりセクハラもする立派なおじさんだ。
「昔々、あるところに――」
そんなおじさんヴァッカリオは、今、寝室のベッドで兄であるアポロニオに絵本の読み聞かせをしてもらっていた。アポロニオは40を超えた成人男性であり、おじさんがおじさんに絵本の読み聞かせをしている地獄絵図である。
さあ、今日も働いた寝よう、とヴァッカリオがベッドにもぐりこもうとしたときに、アポロニオはニコニコしながらその絵本を出してきた。どうやら今日一日の大掃除で、クローゼットの奥から出てきたらしい。ヴァッカリオが幼少のころ、気に入ってよくアポロニオに読んでもらうのをせがんだ絵本だ。
……あれから、もう30年近くが経っている。ヴァッカリオがその絵本を気に入っていた事は事実だが、今でも気に入ってるかと言えば……さすがに。昔の思い出としては良い物だが、今更その絵本を「お気に入りです!」とは言わない。
しかし。ヴァッカリオの兄、アポロニオは違った。アポロニオは体の成長が止まっているからか何なのか、いまだにヴァッカリオの事を幼児扱いする。アラサーのおじさんを幼児扱いするおじさん少年、というオリュンポリスでも一、二を争う恐ろしい光景だ。
アポロニオはその絵本を持って、大変すばらしい笑顔で「お兄ちゃんが今日は読み聞かせをしてやろう」とヴァッカリオに言ってきたのだ。ヴァッカリオは思った、勘弁してよ……、と。だが、アポロニオがあまりにもニコニコ嬉しそうに顔を赤らめていて、可愛いものだから……ヴァッカリオは仕方ないな、と考え直して大人しくその「アラフォー兄によるアラサー弟への絵本読み聞かせ」という地獄を味わう決心をしたのだ。
ヴァッカリオはアポロニオを溺愛しているので、アポロニオがやりたいと言った事はなんでも受け入れてしまう。そう、アポロニオとは違う方向でヴァッカリオは兄に激甘なのだ。
「――『東の森に怪物がいるのです、助けてください』とそのおじいさんは勇者に言いました」
アポロニオはすらすらと絵本の内容を読み上げている。読み聞かせの内容はとにかくとして。まあ、ヴァッカリオも、なんだかんだで懐かしいな、と思いながらアポロニオの優しい声で耳を潤した。一方的に、アポロニオの暖かい声で話しかけられ続けているとだんだん眠くなってくる。
そうやって、ヴァッカリオがうとうとし始めた頃。物語はクライマックスへと差し掛かり、アポロニオの抑揚も身振り手振りも激しくなる。
「すると、怪物は言いました、『お前を食べてやるぞ!』と……がおー!」
「!?!?」
アポロニオは絵本を片手に持って、ヴァッカリオに向けて両手を挙げた「がおー!」をした。がおー! アポロニオお兄ちゃんがおー!!
ヴァッカリオは一瞬で目が覚めた、眠気が吹き飛んだ。思わず、アポロニオの顔をまじまじと見上げる。アポロニオはがおー!のポーズをやめてニコニコとした笑顔に戻ると、絵本の続きを読み始めた。
「――幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
めでたしめでたし。絵本はハッピーエンドで終わりを告げたが、ヴァッカリオの中ではむしろ始まりを迎えていた。お兄ちゃんにちょっと待ってて、と言うと寝室のクローゼットをがさがさと漁る。確か、去年のハロウィンで使ったアレがあったはず……。
「あった! ……ねえお兄ちゃん、もう一回絵本読んで欲しいなあ」
「む、いいぞ! やはりヴァッカリオはこの絵本が好きなのだな……」
「うん、おいら大好き。特にお兄ちゃんががおー!ってやってくれるところがね……はい、これ。せっかくだからさ、これ着けてやってよ」
ヴァッカリオがアポロニオに手渡したのは、オオカミ男のコスプレセット。ケモノ耳の着いたカチューシャと、ぷにぷに肉球とふわふわ毛皮のコラボレーションが素晴らしい手袋。それと、鈴が着いた首輪。……首輪だけは、オオカミ男のコスプレセットではない。ヴァッカリオが「いつか使うかもしれない」と思って買っておいたものだ。いつかってなんだ、何に使うつもりなんだヴァッカリオ。
アポロニオはいいぞ、と笑いながらそれらを身に着ける。そしてヴァッカリオの方を向くと、照れくさそうに笑いながら「似合うだろうか?」と首を傾けながら聞いてきた。
「似合う、似合うよお兄ちゃん最高だよ」
さあもう一度絵本を読んで、とヴァッカリオはアポロニオを促した。アポロニオはそうやって可愛い弟におねだりされて、嬉しそうに絵本を開く。
……果たして、オオカミなのは一体どちらなのか。がおー!をやるのは、どちらなのか。
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