12月分Web拍手お礼SSまとめ - 1/10

グランドフィナーレ後まで。GA後半は含まれず。アホネタ、下品ネタ多め?すみません、再録済みのものとかあるかもしれないですけど勘弁してください(作品管理が下手くそなので……)


 

ハロウィンヴァカアポアホギャグ。滑り込みと見せかけて滑り込めてなかったハロウィン当日に書いたヤツ。
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今日はハロウィン。しかも休日。こんな素晴らしいイベント事が重なっているというのに、ヴァッカリオと来たら今日は出勤の予定を入れてしまっていたのだった。なんと情けない男なのだろう。

ハロウィンということを忘れていて、明日、出勤だから、と伝えた時のアポロニオの驚きようと言ったら!アポロニオはすっかり、朝から家で二人きりのハロウィンパーティをするつもりだったらしい。

その事に遅れて気がついたヴァッカリオは頭を抱え、アポロニオに平謝りし。……案の定、アポロニオは寂しそうな顔をしながらも「気にしなくていいぞ、私が勝手に予定を組んでしまっただけだから……」と無理矢理に笑顔と明るい声を作って言ってきたのだった。

アポロニオがあんまりにも、健気すぎて……ヴァッカリオのハートはその時点でノックアウトされてしまった。お兄ちゃん、そういうとこだよ、と呻きながらヴァッカリオは迂闊に休日出勤の予定を入れた先週の自分を床の上でのた打ち回りながら呪った昨日の夜。

ヴァッカリオは仕事をマッハで終わらせて、これまたディオニソス区からアポロン区に至るまでの最短ルートを各区の許す最高速度で走り抜け、アポロニオの待つ愛の巣へと辿り着いた。

きっと、お兄ちゃんハロウィンのお菓子作ってるんだろうな、とヴァッカリオは軽く息を整えて(すっかり健康になったおかげであの距離を全力疾走しても平気になった!)、玄関をくぐる。

「お兄ちゃん、ただいまー!」

おや、とヴァッカリオは鼻をひくつかせる。絶対、甘ったるい匂いで満ちていると思ったのに。

昔から、ハロウィンと言えばアポロニオの手作り菓子だった。お菓子を貰える事をわかっているのに、ヴァッカリオは我慢できずにキッチンに駆け込んで、大きなアポロニオの背中に飛びついてトリックオアトリート!と叫んだものだ。そうすれば、アポロニオは穏やかな笑みとともにしがみついたヴァッカリオの頭を優しく大きな手で撫でてくれて、「まだ早いぞ」と言いながらも少しだけつまみ食いをさせてくれるのだ。ヴァッカリオの、大切なハロウィンの思い出。

懐かしい思い出との差異に首を傾げながらヴァッカリオはアポロニオを探す。奥の方から、何やらドタバタと激しい物音がしてひょこり、とアポロニオが顔を出した。

顔だけ、を出してきた。とは言え、頭の上で大きな赤いリボンが揺れているものだからヴァッカリオは目を大きく見開いてアポロニオをまじまじと見てしまった。お兄ちゃんの頭の上に、可愛い赤いリボン。

「お、お、おかえり、ヴァッカリオ」
「え、あ、うん、ただいま……ええっと、お兄ちゃん、何やってんの?」

そう尋ねれば、アポロニオは熟したトマトの様に顔を真っ赤にして、視線を右往左往させた後に何かを決心したのか、ぱっと廊下の角から飛び出してきた。

現れた全身は――黒のワンピース型ローブだった。物語の魔女が着ているような。

それを見て、ついでにアポロニオが持っているぐにゃぐにゃした長い木の棒を見て、ヴァッカリオはぽん、と手を打った。

「魔女の仮装! そっか、ハロウィンだから!」
「そ、そうだ! どうだ、似合うだろうか?」

アポロニオは顔を赤くしたまま、照れたように頬をかいてぐるりとヴァッカリオの前で回って見せた。ふわり、と黒のローブの裾が広がる。ヴァッカリオは似合う似合う、と無邪気に喜んでるような振りをしながらアポロニオの足元をガン見していた。めっちゃガン見していた。

そこにあったのは、生足だった。いや黒のストッキングとかだったらそれはそれで大変大問題なわけだけれども、とにかく、魔女のアポロニオの、黒のローブの裾からにょきりと生えた二本の脚は間違いなく、白い肌を晒していた。生足だ、生足。

「似合うと言ってくれて嬉しいぞ、ヴァッカリオ!」
「仮装で出迎えてくれてありがとうお兄ちゃん! すごい、ハロウィンっぽくていいね!」

本音は生足ごちそうさまです、なのだがとりあえずヴァッカリオは隠し事が上手な人間だったので、しっかりニコニコした笑顔と共に当たり障りのない言葉を吐いておいた。

こんなに素晴らしいハロウィンだというのに、なぜ自分は今日に出勤の予定を入れてしまったのか。ヴァッカリオは改めて、過去の自分を脳内でボコボコにしておいた。許すまじ過去のヴァッカリオ。

ヴァッカリオはニコニコとした笑顔を顔に張り付けたまま、魔女のアポロニオに手を差し出す。

「じゃ、トリックオアトリート! 魔女のお兄ちゃんはどんなお菓子をくれるのかな?」

甘い菓子の匂いがしなかったのは、もうすでに作り終わっているからだろう。こんな仮装までしてくれたのだから、きっと今年のハロウィンスイーツはずいぶんと手の込んだものになっていそうだ。

仲直りしてから初めての二人きりでのハロウィンになる。去年は、ジャスティスカーニバル開催のせいでそれどころではなかった。それに、今年はヴァッカリオの体も治って、アポロニオもヴァッカリオも何の憂いもなく純粋にイベントごとを楽しめるのだ。アポロニオが張り切らないわけがない。

さてはて、どんなスイーツが出てきてヴァッカリオの味覚破壊をするのか……何が出てきても、驚かないし食べきるぞ、とヴァッカリオは腹をくくってアポロニオの言葉を待つ。

「お、お菓子は……」
「お菓子は?」
「……ない」

アポロニオは、黒いローブの生地を両手でつかんで、もじもじと俯いている。頭の上にある、可愛らしい大きな赤いリボンがゆらゆらと揺れていた。ヴァッカリオはアポロニオの言葉を反芻しつつ、呆然と「あれ、これって魔女というより魔女っ子の仮装では?」と今更気が付く。それぐらい、アポロニオの言葉は衝撃的だった。まさか、ハロウィンにお菓子がないだなんて!

「だ、だから! 好きなだけいたずらしていいぞ!」

顔を真っ赤にしたアポロニオは、声を張り上げると――黒のローブをするするとまくり上げて、ヴァッカリオの方に小さな尻を向けた。

真っ白くて、ほんのり桃色に染まった、どんなスイーツよりも甘くておいしいヴァッカリオの大好物。お兄ちゃんのお尻。尻。

「!?!?!?!?!?!?!?!?」

ヴァッカリオは絶句した。お菓子を貰おうと思って差し出した手のひらに収まったのはお兄ちゃんのお尻。しかもいたずらし放題。

たっぷりフリーズしていたヴァッカリオだったが、アポロニオが様子をうかがうように名前を呼んできたことで、ようやく復活をする。

復活した後のヴァッカリオは、早かった。最強の名に恥じぬ素早さで魔女っ子アポロニオをひょいと抱えて寝室に放り込み、以下略。

 

ヴァッカリオが我に返ったとき、すでに日付は11月1日になっていた。お兄ちゃんと過ごすハロウィン最高、ヴァッカリオは二十年ぶりぐらいに改めて思った。二十年前のハロウィンも良かったし、これはこれで良い。

トリックもトリートもお兄ちゃんの手にかかれば世界最高品質間違いなし!なのだ。

……ところで。

「お兄ちゃん、なんであんなことしようと思ったの? ……っていうか、誰の入れ知恵?」
「ん? それは……クリュメノスが、最近流行っていると持ってきてくれた雑誌に『仕事に疲れた彼を優しくお出迎え♡』というコーナーがあって……」

余計なことしやがってという気分とさすが師匠!という気分で、ヴァッカリオはずいぶんと複雑な気持ちを抱えたが、とりあえずきっと冥府でニヤついているだろうクリュメノスに何か意趣返しをしよう、と決意したのだった。

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