大変だお兄ちゃんが妊娠した!という初夢を見てしまった正月のヴァとヴァには言えないめちゃくちゃえっちな初夢を見てしまったお兄ちゃんのヴァカアポ(ギャグだよ)
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※夢落ちギャグとはいえ妊娠ネタなのでご注意を
『た、大変だヴァッカリオ!』
ん、どうしたのそんなに慌てて……。
『実は、最近だるい事が多くて、もしやと思って検査してみたのだが……』
えっ、検査? 病気? 大丈夫?
『病気ではない、ぞ。これを見てほしい』
ナニコレ……えっ、検査薬……えっ!!
『よ、陽性だ……その、明日、休みは取れるだろうか。早めに産科に行っておきたくて……』
産科……お兄ちゃんが……産科に受診……えっっっっ!?!?!?!?
『ああ、やはり男だと妊娠から出産まで女性より困難が多いと聞くからな。それに、私はまだ未成熟な体だ。お、お腹の子供のことを思えば……』
そ、そうだね……ソウダネ??? えっ?????
『……ヴァッカリオ、いつまで驚いているのだ。お前、クリスマスに……な、なまで性交したのだから、私が妊娠してもおかしくはないだろう。それとも、パパになる心の準備すらできてなかったというのか?』
「パパァ!?!?!?!?!?!?!?」
ヴァッカリオは毛布をがばりと跳ね除けて飛び起きた。心臓がバクバクと音を立てているし、全身じっとりと嫌な汗をかいている。ふと寝室の時計を見て、「やべっ遅刻だ!」と一瞬思ったものの、その後に「いや今は年始休暇中だ」と慌てて思い直して――さきほどのアポロニオとの会話が自分の夢であった事にようやく気付いた。
「なんだ夢か……あーくそっ、焦った……」
愛おしそうに自らの腹を撫でるアポロニオと、突き付けられた妊娠検査薬の結果。あまりにもリアルすぎた夢の中身に、ヴァッカリオはぶるりと体を震わせた。ちなみに、クリスマスに生で中出ししたのは現実の話。アポロニオがあまりにも可愛すぎて、そして誘ってきてくれたものだから、ヴァッカリオも1回ぐらいはいいか、とつい。ついつい。
「やっぱだめだなうん新年の初仕事はフォースに避妊の大切さを訴える宣材を作らせようそうしよう」
急にヴァッカリオは心配になってベッドサイドの小箱をちらと開けて見たが、ちゃんとコンドームがぎっしり入っていた。ほっと安堵の息を吐く。
そりゃあもちろん、アポロニオとの間に子供ができれば嬉しいに越したことはないが、あいにく自分も相手も現役バリバリのゴッドナンバーズ。何より、アポロニオとまだ籍も入れてない(いやしかし、兄弟だから籍はすでに同じだ……)。それだけでなく、アポロニオとも未来の家族計画を語ってもいなければ合意もとっていない。
いくら帰宅したらミニスカサンタお兄ちゃんがもじもじしながら「あ、明日は休みを取ったから……激しくても大丈夫だぞ」と囁いてきたとしても、コンドームは絶対に着けよう。ヴァッカリオは改めて気を引き締めた。……気を引き締めたが、クリスマスの性なる夜事件が思い出されてしまって、思わず引き締めたはずの気が一瞬で緩みそうになった。
いかんいかん、とヴァッカリオは冷水で顔を洗って喝を入れようと寝室から出る。先に起きたらしいアポロニオは、きっと朝食の準備でもしているのだろう。
――と、思ってリビングを通りかかったヴァッカリオだったが、ソファに座り込んでいるアポロニオの後姿を見つけた。テレビもつけず、何やら買ったばかりの巨大なビーズクッションをぎゅう、と抱きしめている。
「お、お兄ちゃん?」
「!!! ヴァ、ヴァッカリオか!」
「おはよう、どうしたのそんな驚いて……」
戸惑うようにヴァッカリオが声をかけてやれば、アポロにニオは予想以上に驚き慌てふためき、顔を真っ赤にして……熱に潤んだ瞳で、ヴァッカリオを見上げてきた。風邪でも引いたのか、と思ったが、次の瞬間に、アポロニオがあまりにも艶めかしい吐息を口から零したことでヴァッカリオはまさか、と思い至る。ごくり、ヴァッカリオの男らしい喉仏が上下した。
すすす、とアポロニオの隣に密着するように滑り込むと、アポロニオは真っ赤な顔をさらに真っ赤にして、すすす、とヴァッカリオから距離を取ろうとする。すすす、すすす、の攻防戦を経て、最終的にヴァッカリオはアポロニオの肩を抱き寄せることに成功した。
「ねえお兄ちゃん、どうしたの? 何があったか教えてよ」
「う……実はだな……」
ヴァッカリオが甘えるように聞けば、アポロニオは観念したかのように口を開く。
「せ、せっかくの初夢だったのに……なんとも、破廉恥な夢を見てしまって……」
「ほほう、破廉恥。お兄ちゃん、具体的には?」
「具体的には……そうだな、ヴァッカリオが……いや待てさすがにそこから先は言えん!」
「え~なんで! っていうかおいらが出てきた初夢なんだから喜んでよ!」
「そこは喜んでいる! そこは喜んでいるが、あんなことを……」
「あんなことを詳しく! ねえ詳しく!!!」
「だっ、だめだっ!!!」
まあまあとにかく。アポロニオが見たという「ヴァッカリオとの破廉恥な初夢」の内容は、最後まで教えてもらうことができなかったヴァッカリオだったが。そこでへこたれるような男ではなく、じゃあ実地でいろいろ教えてもらお、せっかくの初夢だしね、とアポロニオを担いで寝室へ逆戻りすることに成功したのだった。
「いやあ、初夢は一年の吉兆を占うというけど、きっと今年もたくさんエッチしろって事だね!」
「ぐ……初夢はそういうものではないだろう……! ……では、お前は何か初夢を見たのか?」
「……見てないよ」
「見たな。その反応は、初夢を見たな」
「みーてーまーせーん!」
「見ただろう! 内容を教えなさい!」
アポロニオがヴァッカリオの両肩を掴んでゆっさゆっさと揺さぶる。ヴァッカリオはそっぽを向いていたが観念……もとい、いたずらを思いついた顔をしてアポロニオに向き直った。
「じゃあ教えてあげるよ、おいらが見たのはね、お兄ちゃんと――」
ごにょごにょ。アポロニオに耳打ちしたところ、あれだけ聞きたがっていたアポロニオは顔を真っ赤の真っ赤にして押し黙ってしまった。
「もっと教えてあげる、なんなら今から再現してあげようか?」
「い、いい! これ以上は無理だっ!」
悲鳴をあげるアポロニオをヴァッカリオはにんまりとした笑顔で見ていた。もちろん、素直に「お兄ちゃんが妊娠する夢を見ました」なんて言うわけもない。新年早々、兄に嘘をつくのは気が引けるが、さすがに勘弁してもらいたい。
二人そろってなんという夢を見ているのだ、と頭を抱えるアポロニオだったが、ヴァッカリオもそれには全力で同意しておいた。本当に、なんという夢を見たものやら。
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