夏生まれ夏男(?)な太陽神お兄ちゃんは秋の涼しさあたりが案外苦手なんじゃないかという感じのほのぼのと思わせといてただのギャグなヴァカアポ。根本的にオリュンポリスに四季ってないような気がするんだけどね、ヴァカアポの四季折々は楽しいから……。そして三か月連続朝勃ちネタ(頭抱え
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朝、というにも早すぎる早朝。アポロニオはぶるりと寒気を感じて目を覚ました。季節は夏も終わり、秋の気配が濃くなり始めるころ。そろそろ朝方はタオルだけでは足りないか、と思っていたぐらいだ。
予想より温度が下がっているようで、アポロニオは夏パジャマの半ズボンから飛び出している足をすり合わせた。これなら日中のうちに悩んだ薄手の毛布でも出しておくべきだった。
枕もとの時計を見れば、今から毛布を出しに行くにも微妙な時間帯で……付け加えて言うなら、隣ではヴァッカリオがスヤスヤと寝息を立てている。今、アポロニオがベッドから降りて寝室のクローゼットを開ければ、きっと物音で目を覚ましてしまうだろう。
ヴァッカリオの安眠快眠を願ってやまないアポロニオとしては、それだけは避けたい。しかし、寒いものは寒い。
さて、どうしたものか、と寝返りをうってアポロニオは考える。目の前には、半袖半ズボンにもかかわらず健やかに寝ている弟の姿が。ヴァッカリオは意外と暑がりらしい。
アポロニオは何となく、ヴァッカリオの体をまじまじと見て――閃いた。
そうだ、毛布がなければヴァッカリオがいるじゃない。
去年の冬、寒さ厳しい時にはそういえばヴァッカリオが「お兄ちゃんゆたんぽ~!」と言ってアポロニオを抱え込んでいたではないか。となれば、アポロニオだって「ヴァッカリオゆたんぽ!」をしても許されるはずだ。
アポロニオはそうっと、そ~~~っと、ヴァッカリオに近づく。横向きで寝ているヴァッカリオはこちらを向いているので、胸にしがみつく形になるが腕が邪魔だ。
「ふむ……」
少しだけ悩んだアポロニオは、ずるずると下に下がってヴァッカリオの肘あたりに頭をそ~~~~っと潜り込ませた。二人の身長差があるおかげで、すらりと伸びたヴァッカリオの足に、アポロニオの足を絡め合わせると高さがちょうどよい。
起きないだろうな? とアポロニオは頭上のヴァッカリオを気にしつつも、太くて逞しい胴体に腕を回した。ちょうどよい抱き枕……いや少し大きすぎるかも……ううむ、と考えつつも、ヴァッカリオのみぞおちあたりに頬を摺り寄せる。
絡めた両足からはヴァッカリオのぽかぽかとした体温が伝わってくるし、密着したアポロニオの腹も顔も、温かくなってくる。
温かくなってくれば、当然眠くなる。何しろ、まだ朝は早くて、普通なら眠っている時間なのだ。
アポロニオは降りてくる瞼に従って、再び夢の中に旅立っていった。
……一方。一方のヴァッカリオは瞼が全力で上がって現実に降り立っていた。
起きたのは、足に何かが接触した時だ。煩わしいな、と蹴とばそうとしたところで急に覚醒し、目の前でもぞもぞと動いてひっついてくるアポロニオに気づいたというわけだ。
この時ばかりは、自分のお兄ちゃんセンサーの優秀さを褒め称えた。もし、蹴り飛ばしていたらアポロニオは傷ついただろうし、自分も圧倒的役得シチュエーションを自ら捨てたことでひどく傷ついただろう。良かった良かった。
「……いやいや、良くないってこれまずいって」
ヴァッカリオは思わず、ぼそりとつぶやく。
アポロニオはヴァッカリオの腹に腕を回してしがみつき、足を折りたたんでヴァッカリオの両足に絡めている。コアラか??と言わんばかりのしがみつき方。可愛いにもほどがある。
そして可愛いとは別に、アポロニオとの密着具合があまりにも激しすぎて煩悩がヤバい。そもそも、ヴァッカリオは健全な年ごろの男であるため、朝勃ちもしょっちゅうしているのだ。
つまり。今日も、むずむずむくむくし始めていた息子は唐突なラッキースケベという現物支給に驚き喜び勇んで元気いっぱいになってしまったのだ……!!
(静まれ、静まれ、静まれ……っ!!)
ヴァッカリオは念じる。このままでは、ぴたりとくっついたアポロニオの体に我が分身が突き刺さってしまうし、突き刺さって先端をぐりぐりされたら何が起こるか想像もしたくない。ヴァッカリオの下半身に生えている性剣は、アポロニオお兄ちゃんに激弱なのだ。
(静まれっ……)
「ん……ヴァッカリオ……」
(あああああああお兄ちゃんなんでそんな煽るようなことをををををを!!!!)
「……もっと……」
もっとって何。ヴァッカリオは一瞬、頭が真っ白になった。何がもっとなんだお兄ちゃん。なんの夢を見ているんだ。え?????
当然、そのアポロニオの寝言にヴァッカリオの分身は大喜びでさらに勢いよく巨大化する。むしろ先端からよだれを垂らし始めているんじゃないかとヴァッカリオはヒヤヒヤだ。
ちなみに。アポロニオの「もっと」は「寒いからもっと寄ってくれ」の意味なのだが、現在進行形で煩悩まみれなヴァッカリオに通じるわけもない。
しがみついてくるのは可愛い、本当に可愛い。それはそれとして、恐ろしい生き地獄が出来上がってしまった。何しろ、今日は平日でこの後、二人ともそれぞれのフォースに出勤しなければならない……!
ではアポロニオを起こすのがいいのか? ……こんなにスヤスヤと寝ている兄を、起こすわけにはいかない。
ヴァッカリオは決心した。目覚ましが鳴るまで、耐えきってみせると。本能程度、理性で抑え込んで――
「ぁっ……ヴァッカリオ、そこはっ……」
(無理ぃぃぃぃぃ!!!!!)
ヴァッカリオは頭を抱えた。無理だ、絶対無理。本能が強すぎるし、そこに供給されるエネルギーも強すぎる。
「お、お兄ちゃん、ごめん……ちょっと、ごめん……」
「ん……んあ?」
断腸の思いでアポロニオを引っぺがすと、案の定、アポロニオは起きてしまった。中途半端に覚醒したのか、ぼんやりとした返事をする。
「おいら、トイレ行ってくる」
ヴァッカリオはそういって、アポロニオの反応を見もせずに戦略的撤退を行った。戦略もクソもない圧倒的敗北なのは気のせいではない。
そして、トイレでスッキリして戻ってきたところ、アポロニオはどこからか毛布を引っ張り出してきてベッドの端で丸くなって寝ていたという。
やっぱり起こさずにあのラッキースケベ的シチュエーションを楽しむべきだったかな……とヴァッカリオは一人寂しく思いながら、二度寝するのだった……。
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