アポロニオの日焼けを大人になって改めて見たらとても……とても!!なヴァカアポ。
太陽神の権化と言っても過言ではないアポロニオだが、意外なことに日焼けはちゃんとする。勝手に太陽光に耐性があると思われて、日焼けもしないとまことしやかに囁かれているが、単に色白なのと露出が多そうに見えて露出が少ない服のおかげだ。
その事実を知る人間は少ない……どころか、これまでアポロニオ一人しか知らなかった。そして、今ここにもう一人、事実を知る人間が増えた。そう、ヴァッカリオだ。
「お、お兄ちゃん……日焼けするんだ……」
「ん? 日焼けぐらいするぞ?」
そう言うアポロニオはジャケットと黒手袋のわずかな隙間だけ焼けた手首を見せた。健全な人が見れば腕時計焼けの逆バージョン……だが、ヴァッカリオの目には違うものに見えた。ヴァカリオは、不健全な人間なもので。
両手首を揃えてヴァッカリオに見せてくるその姿は、まるで手錠でもかけられたかのようだ。ヴァッカリオの目には、手錠焼け(!?)の逆バージョンにしか見えない。むしろ無いはず鎖がアポロニオの手首に繋がって見える。
「ほら、見ろ、ちゃんとこの辺も焼けている」
アポロニオは無防備にぺらっとシャツをめくって見せた。白い腹……と思いきや、腹の上、胸の部分と比べると確かに腹部の方が肌色が濃くなっているのがわかる。
「む、胸は焼けてないんだね」
「ああ。ジャケットを羽織っているし、ベルトがあるからな」
アポロンVIの服と言えば、胸のところで留められたベルト。確かに、そこの部分はよく見ればベルトの形に焼け痕がついている。鎖骨の部分は濃い目に、胸の部分は真っ白に。
ヴァッカリオが驚いた顔でまじまじと自分の体を観察することを、アポロニオはどことなく嬉しくなってしまって「ここもちゃんと焼けているぞ!」などとズボンを少しばかりずらして見せた。
「!!!!」
無造作にずらされたズボンとパンツのゴム紐部分。そこから現れたのは、腰骨あたりでくっきりと肌の色が別れた魅惑の日焼け痕だった。
「お、お、お、お、お兄ちゃん……焼けてるね……!」
「よく『アポロン神の神話還りは日焼けしない』と言われるが、それは人それぞれだろう。まあ、私も日焼けしにくい体質だとは思うが」
ごくり、と生唾を飲み込んで鼻息が荒くなりつつあるヴァッカリオに全く気付かず、アポロニオは自分で腰の日焼け痕を指でなぞった。
それを見ていたヴァッカリオはなんかもう爆発寸前だった。というか、すでに兄のド天然スケベ爆弾で爆破された。何も言葉が出ないし、頭の中では「お兄ちゃんの日焼け痕めっちゃエッチスケベエッッッッロ!!!!」だけがぐるぐるぐるぐる回っている。あと股間もばっちり反応していた。ソファでごろ寝していたタイミングで良かった、アポロニオが掛けてくれたブランケットのおかげで向こうからは見えていないだろう。
「足首も焼けているぞ」
ひょい、と上げられた細い足首は焼けていた。あの、アポロンVIの謎クロスベルトの形にくっきりと。
「んなあああああああああ!!!!!エッッッッッッッッロ!!!!!」
「!?!?!?!?」
いきなり奇声を上げてソファから跳ね起きたヴァッカリオに、アポロニオはびっくりして二、三歩後ずさった。特徴的な頭上のアホ毛の塊が猫よろしくピン!と立っている。アポロニオお兄ちゃんの不思議な髪の毛だ。
「ろ……? ……なんだって???」
「なんでもないけどなんでもある!!! ちょっとお兄ちゃん、日焼け痕確認したいから全部脱いで!?!?」
「えっ、なんかヴァッカリオが怖いから嫌だ……」
「じゃあひん剥くよ!?」
「なぜだ!?」
ガバッと目をぎらつかせたヴァッカリオが覆いかぶさってきたので、アポロニオは持ち前の反射神経でヒラリと避けた。そのまま、職業病でファイティングスタイルを取る。
アポロニオの隙の無い構えを前にして自然とヴァッカリオも腰を低く落とした臨戦態勢になる。じりじり、相手との間合いを詰めながら呼吸を伺う。
……そんなわけで、アポロニオのリビングで思わず本気の手合わせが始まってしまったのであった。果たして、ヴァッカリオが無事にアポロニオを丸裸にして日焼け痕を確認できたのか、アポロニオが全力で抵抗してヴァッカリオの魔の手からスケベ日焼けボディを守り切ったのか。
それは誰も知らない話である。
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