しいたけ栽培セットにハマるお兄ちゃんとそれを見てしいたけにヤキモチ焼いて拗ねるヴァッカリオのほのぼさは無いセクハラ系ヴァカアポ。
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※お下品なセクハラネタがあるので苦手な方はご注意を
秋の味覚、キノコ。オリュンポリスにもキノコ狩りの文化は存在しており、ヴァッカリオも幼い頃には兄に連れられて郊外の山里までキノコ狩りを楽しんだ覚えがある。
とは言え、大人になり、ゴッドナンバーズとして活動する二人がそうひょいひょい都市部を離れることができるわけもなく。キノコ狩りだなんて、夢のまた夢……と思いきや。
ヴァッカリオがソファでだらしなく休日の午前を貪っている前で、あらかたの家事を終えたアポロニオがいそいそと霧吹きを持ってやってきた。
そしてリビングの片隅にある、そこそこ大きなケージのふたを開けて、シュッシュッと水を吹きかけた。
「ふふふ、日に日に大きくなっていくな……!」
「……大きくなり過ぎじゃない?」
アポロニオが半ば恍惚とした表情を浮かべながら眺めているのは、「自宅でできる!簡単!しいたけ栽培セット!」だ。しいたけ栽培だ。つまり、アポロニオの目の前には超巨大しいたけがにょきにょきと生えているのだった。どうやらヴァッカリオの兄は、「大きく育てる」ことが得意であり、趣味の一つでもあるらしい。そう、例えばこのヴァッカリオとか。
「コイツはまだまだ伸びるぞ!」
「いやもう収穫時でしょ、大きくなり過ぎたら大味になっちゃうって」
熱心にマニュアルどおりにお世話をするアポロニオのおかげで、栽培セットの原木からはしいたけがいくつも生えていた。そしてそのどれもが、すでに規格外の大きさになっていたのだ……!ヴァッカリオはそれを見るたびに、うへえ、と何とも言えない気持ちになる。
だいたい、せっかくの休日なのにヴァッカリオを構うよりもしいたけに霧吹きすることの方が優先度高いとはどういうことなのだ。アポロニオが家事をしている間は、じゃれるのも我慢しているというのに。終わった瞬間に、アポロニオはそそくさとキッチンに行って霧吹きを準備してくる。
それが毎日のように繰り広げられて、ヴァッカリオは大変に面白くなかった。しいたけに嫉妬するだなんて心が狭い、と言われたとしても、事実なのだからしょうがない。アポロニオがしいたけに霧吹きをして大きさをニヤニヤしながら確かめている間、ヴァッカリオは唇を尖らせてムスッとした表情をいつもしている。
「ねーお兄ちゃん、今日の夕飯そのしいたけでバターソテーにしようよー」
「いや、まだだ、まだ大きくなれる」
「それ以上大きくしてどーすんのさ」
ヴァッカリオは呆れたように言った。アポロニオはしいたけを食材ではなく、ペットか何かと勘違いしているに違いない。
ようやく、アポロニオはケージの蓋を元に戻して、霧吹きを片づけて、ソファに寝そべるヴァッカリオのそばへとやってきた。遅い、遅すぎる。ヴァッカリオはそのまま通り過ぎて対角線上にあるソファに座ろうとするアポロニオを捕まえた。
「うわっ」
バランスを崩したアポロニオの手を引き、無理矢理、自分の体の上に乗せる。アポロニオも最近はこういったじゃれつきに慣れてきたのか、特に抵抗するでもなく大人しくヴァッカリオの上に馬乗りになった。そこで、アポロニオはじゃれてきた弟の顔を見て眉を下げた。
「……なんだヴァッカリオ、そんなつまらなさそうな顔をして」
「つまんなかったもん。お兄ちゃん、おいらよりしいたけに夢中だし」
「しいたけの世話は毎日する必要があるからであってだな……別にお前よりしいたけを優先したわけではないぞ?」
ぷう、と頬を膨らませるヴァッカリオに、アポロニオは苦笑して手を伸ばした。宥めるかのように頭を撫でてやり、膨らんだ頬に手を当てる。
「そう拗ねるな」
「じゃあお兄ちゃん、この後はおいらと遊んでくれる?」
「もちろんだ! 待たせてすまなかったな」
アポロニオの言葉に、ヴァッカリオはにんまりと笑った。そのまま、自分の太ももあたりに乗っているアポロニオの腰を掴んで、自分の股間まで体を引き上げる。そして、わかりやすく腰を突き上げるとアポロニオは一瞬にして顔を赤らめた。
「お兄ちゃんさ~。しいたけ大きく育てるのもいいけど、おいらのキノコも大きくしてよ」
「キノコ……? お前の……?」
アポロニオは何のことだ、と一瞬きょとん、とした顔をしたが、すぐに先ほどを上回る勢いで顔を真っ赤にした。耳から首から、全て赤くなる。
「おっ! お前は!」
「ほらほら、おいらのキノコも高温多湿がいいな~って言ってるよ。お兄ちゃんに育てて欲しいな~」
ヴァッカリオの大きな手が意味深にアポロニオの口元と、尻を撫でさする。キノコの育成に最適な場所と言えば、高温多湿。アポロニオの高温多湿な場所と言えば、つまり。
お兄ちゃん遊んでくれるって言ったじゃん、とヴァッカリオはからかう様に笑いながらアポロニオの手を自らのキノコ生育地へ導く。アポロニオの小さな手がズボンの上から恐る恐る、さわさわと撫でればキノコ(?)は確かに布の下で存在感を放ち始めていた。むくむく、大きくなるのはヴァッカリオの一本タケリタケ。食用不可、毒性なし。たまに白い液状のもの頂点から吐き出したりする、そんなキノコ。
「うう……お、お前の、キノコを……」
「上でも下でもどっちでもいいけど……できれば両方がいいなあ」
くすくす笑いながら、顔を真っ赤にしつつもヴァッカリオに跨ったまま股間を緩く撫でているアポロニオの後頭部にヴァッカリオは手をかけた。そのまま、少しだけ力を入れて自分の方へと頭を押しやる。
アポロニオの小さな頭は、特に抵抗することもなくスムーズに倒れこんで、ヴァッカリオと重なった。この後、無事にヴァッカリオのキノコは高温多湿の場所で大きく育ててもらったらしい……。
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